医師になるまでの軌跡


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医師になるまでの軌跡


~歯学部学生時代~

 国立大の歯学部に通っていたある日、母が珍しい皮膚癌になり、大変なことになりました。 医院を営む父は、今までほとんど母頼りで、母が5ヶ月間も入院となると閉院の危機になりました。 もともと、医学部志望でしたが、邪道な理由で、確実に合格できるように、私は歯学部へ進学しました。 そのため、あまり歯学部に対しての思い入れもなく、私は思い切って半年間休学し、実家の手伝いと母の看病をすることに決めました。
 母は、皮膚移植+リンパ節廓清術まですることとなり、術後2週間は皮膚がくっつくまでは、 じっとベッド上安静で、そのあとリハビリも行い、長い長い入院生活でした。母が入院中、 母の兄の出身医局である皮膚科でしたので、本当にいろいろとお世話になりました。 当時医大生だった、従兄弟たちも勉強兼ねてよく母のところに来てくれていました。 そして、母の主治医の女性の先生とも仲良くなり、いろいろなお話をするようになりました。 先生自身も海外留学したあと、遠回りして医者になられ、いつかはご実家の後を継ぐようなことをお話されていました。 その先生が、私のいろいろな迷いから決心へ導いてくれたように思います。
 この半年の休学期間は、のちに、私の人生を大幅に変えることになりました。 「どうせ6年通うなら医学部がいいかしら?」と思い、再受験を思い立ちました。 父に私の意向を伝え、納得してくれました。言い出したら前へ突き進む私の性格を理解した上での納得だったと思います。 ただ、母はいろいろな心配をしました。第二次ベビーブームの頃の世代であったため、女性というハンディがあることや、 再度受験勉強をしないといけないため、本当に大丈夫かしら?と私を気遣うことをよく言っていました。 最悪の事態も考えましたが、それでも、私は一度しかない人生ですので、目標に向かい、 休学の最中再受験をし、医学部へ合格しました。



~医学部学生時代~

 医学部での学生生活も慣れ、体育会系では、女子バレー部、文化系では、ESSに入りました。
 毎年夏休みになれば、語学留学へ出かけ、いよいよ5年生では、念願の医学研修での短期留学が決まりました。書類や研修内容の確認に追われているそんなある日、父が心臓バイパス術を受けるとの報告を受けました。当時私も弟も医学部生でしたので、姉の私は、母と一緒に主治医の先生の説明を受けるため帰省しました。主治医の先生より、「何かご質問はありませんか?」と聞かれ、夏の留学前に「是非日本で手術室に入りたい!」と強く思っていた私は、思い切って先生に頼んでみました。「いいですよ。ただし術野には手を出さないでくださいね(笑)」という返事。異例でしたが、家族である私が手術室に入り、父の手術を最初から最後まで見学できることになりました。そのとき、父の手術というより、医学生としての興味の方が強く、真剣に手術を見ました。手術の途中で、先生方から、解剖学的な質問もされたり、医学的な勉強もしながらの見学でした。この体験は本当にうれしかったです。「よし、私は外科医になる!」と思ったときでもありました。
 その夏、オランダのロッテルダムへ医学研修のため短期留学へ出かけました。研修病院は、オランダ語ではなく、普段より英語での会話がされている国際的にも有名な病院でした。私は、麻酔科で研修でした。手術室に入ると、男性顔負けの男勝りな女性の先生が執刀されていました。オランダ人は非常に背が高く、男性は当時平均180cmくらいで、女性でも平均172cmくらいでした。160cmくらいしかないのは、私とドイツ人の研修医の女性の先生だけでした。手術室の外科系の女性の先生方は、皆さん180cmくらいあり、マスクとメガネをしていると性別が分からない程でした。そのときの大柄な女性外科医の先生方の印象が今でもなお残っております。
  日本でも、現実に待っていたのは、女というだけで、なかなか外科の道は険しく、眼科や皮膚科・耳鼻科を勧められました。しかし、歯学部から医学部へ再受験した私は、どうしても全身を診れる医者になることを目標としました。
 学生の頃お世話になっていた阪大第二内科の先生のお人柄に惹かれ、卒業後は、阪大の第二内科へ入局し、内科医になることを選択しました。

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